-5- 第361号 NitobeBunka Times 平成20年6月16日

小学校

「赴任に当たってのご挨拶」

強く・明るく・正しく

東京文化小学校 校長 熊谷 勝仁

 本校の母体、女子経済専門学校は、日本の女性文化の向上を願い北海道帝国大学教授森本厚吉博士によって、昭和2年(1927年)に創設されました。
 森本博士は、創立にあたり、国際連盟事務局次長などの要職を通して多くの国際人を育てた新渡戸稲造博士を初代校長に迎えました。
 森本先生は、キリスト教を根底とした真理の探究を建学の精神とすると共に小学校教育の実践にあたって「強く・明るく・正しく」ということを子ども達に心がけるように望まれました。
 これらの遺訓は、本校教育の精神であり、根本理念であります。
 このような伝統ある東京文化小学校に、福田校長の後を受けて、この4月より赴任いたしました。微力ではありますが、建学の精神をもとに子ども達を育てていきたいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。
 さて、「強く・明るく・正しく」について考えてみたいと思います。「衣食足りて礼節を知る」は先人の言葉ですが、我が国は飽食の時代、衣食が足りすぎて「礼節」がどこかへいってしまったようです。

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▲全校生徒と一緒に楽しいランチデー

 この原因はどこにあるのでしょうか。私は「心の教育」の欠如がこのような結果を生んだのだと思っております。私たちは努力して豊かな日本を築き上げたのですが、「自由」を得るには「義務」が伴うことを学ぶ努力が足りなかったような気がします。
 これは、家族・学校・地域も含めた日本全体の社会に言えることです。私が若い頃アメリカで学んだ言葉に「Individual with liberty and justice」があります。人は自由と正義のもとにあるとでも言うのでしょうか、個人には自由があるが正義もなくてはならない。義務があるからルールに従い規範にも従うと言うことです。
 教育とは、家庭・学校・地域社会の三者の共同責任において未来を担う子ども達を強く・明るく・正しい子に育てることだと思います。三者がお互いに連携を保ちながら信頼し合い、同じ目的を持ってこそ青少年の豊かな人間性が培われると思います。
今後とも新渡戸文化学園に対する皆様のご尽力・ご支援を切にお願い申し上げる次第です。


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