-3- 第361号 NitobeBunka Times 平成20年6月16日

短期大学
臨床検査学科

飛びたつ新時代の臨床検査

東京文化短期大学 臨床検査学科長 岡部紘明

 病院研究検査の必要性から昭和27年に臨床病理懇談会(現臨床検査医学会)が設立されました。その懇談会において臨床検査技師とその教育施設の必要性も討議され同年、東京文化短期大学に医学技術研究室を設置しました。これは学園としての大英断でもあり、日本最初の臨床検査技師養成施設で、臨床検査の歴史の始まりでもあります。
 このときの臨床検査教育のカリキュラムは、その後政府認定の技師学校の教育カリキュラムの基本となりました。その後半世紀以上にわたり、多くの優秀な臨床検査技師を輩出し、今日の臨床検査の隆盛を築いてまいりました。
 今までの50数年間は自動分析法の急速な進歩や情報技術の導入・コンピュータ化による検査の大量処理、ミクロ分析や画像診断検査領域での臨床検査技師の職務領域の拡大などをはかり、臨床検査は日本の健康・医療に多大な貢献をしています。

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▲ベリタス伊藤賞受賞者と岡部学科長(08年4月)

 しかし臨床検査技術は高度化し、急速に発展しており、更に社会に寄与する為には高度の技術と教育が必要となります。当学園も過去の先端的発想を教育の場において更に伸ばし、高度の検査技術者を教育し、21世紀の臨床検査推進の教育を目指して、短期大学へ臨床検査学科を移行し3年目になりました。
 現在の日本における少子高齢化社会は、取りも直さず予防と診断技術の進歩によるものです。単に診断技術のみならず、気象医学は天文学と、航空医学は航空工学となど、諸科学と密接に連携して発達しており、予防医学、スポーツ医学などの領域、更に医薬品はもとより食品衛生、補助食品、公害など社会環境の分野でも診断技術は必要とされています。臨床検査医学は、現代では科学的・計量的検査を中心に、科学的根拠による臨床検査診断が基礎になっています。臨床検査は医学・医療全般にわたって欠くことの出来ない重要な領域であるばかりでなく、人の病を探究するためにミクロの世界(分子生物学、遺伝学)から宇宙医学へと、他の領域の科学の進歩とともに発展した自然科学の一分科です。
 職業の中でも開かれた、夢のある、医療領域です。その技術者として臨床検査に就くということは、新時代の科学者になるということで、ヒトの生命を支える医療情報という人間味ない世界の中で、逆にハイテクノロジーを利用して人間性を求めるやり甲斐と誇りがある素晴らしい職業であり、まさしく天職です。

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